年収300万円で子育てが出来るのか? という議題は2000年以降、かなり多くの場所で取り上げられてきた問題です。
かつては年収400万はないと子育ては難しいと言われていましたが、仕事の限られている地方では年収300万で子育てするのが普通だという声も上がっています。
では、仮に都内で年収300万で子育てをしよう! という場合に、果たしてそれは実現可能なのか調べてみました。
まず、子供が生まれると児童手当が毎月貰えます。
年収によって制限はあるのですが、当然、年収300万円であれば引っかかりません。
金額は下記の通り。
①所得制限額未満の世帯の場合、子ども1人あたり
・3歳未満:月額1万5千円
・3歳以上小学校修了前(第1、2子):月額1万円
・3歳以上小学校修了前(第3子以降):月額1万5千円
・中学生:月額1万円
年収300万円なので、月々の収入は25万円(ボーナス無し)。
手取りを22万円+1万5000円の児童手当と考えます。
そして、お嫁さんは専業主婦と仮定します。
認可外保育園の平均費用は月額7万円
23万5000円で三人暮らし!
地方であればギリギリ回りそうですが、都内だと家賃相場が地方よりも2~3万円高いため、実質的には破綻の域に片足を突っ込んでいる状態になります。
例えば、子育て支援の手厚い千代田区や中央区の1LDKですと、最低でも10万円以上になります。分譲マンションだと12万円になりますから、家賃は12万円と仮定します。
この時点で残りの金額は11万5000円。東京では2年毎に更新料として賃料一ヶ月分を余計に払わなければいけないので、更新料を払うには貯金が無いと不可能になってしまいます。
都営住宅の抽選に申し込みたいところですが、シングルマザーや高齢者が優先されるため、年収300万であっても一般家庭が潜り込むのは容易ではありません。
とはいえ、申し込まなければ当たりませんから、年収300万の家庭は家賃相場が安い都営住宅の抽選に申し込むことが必須となります。
家賃が5万円ほどになれば、家計は圧倒的に有利です。
しかし、都営住宅はその家賃の低さから倍率が数百倍と高く、住人も出て行かないため完全に形骸化している状態です。なので、あまり期待は出来ないと思います。
共働きしようにも認可保育園の壁が立ちふさがる
「収入を増やすために共働きしよう」
と思っても、問題があります。それは、保育園の問題です。
月額の保育費が安い認可保育園は、これまた抽選必須の激戦区で、民間が運営する認可外保育園の月額費用は平均7万円です。
家賃と合わせたら19万円、毎月支出することになります。
毎月7万円以上をパートで稼ぐのは、不可能ではありませんが割に合わないですよね。
それだったら、家で内職しながら子育てをしたほうがマシです。
「認可保育園に入れば補助もあって安い!」
と調べていくうちに思うでしょうが、認可保育園に入るためにはポイント制の審査をクリアしなければいけません。このポイント制審査には「親との死別」「シングルマザー」「兄弟がいる」など子育て条件の悪い人から入れるようになっており「働きたいので入れてくれ」という誰もが抱えている問題だけだと、認可保育園に入るのは難しくなります。
これが、いわゆる待機児童問題です。
多くの奥さんは、役所からの「認可保育園全滅宣言」を受けて、はじめて待機児童問題を認識します。女性が働きたくても働けない社会という現実が日本では起きているのです。
両親が都内にいれば大助かりだが…
「じゃあ子育ては親に頼もう!」
子育てにおいて、祖父や祖母をあてにする家庭は多いです。実際、年金暮らしの祖父、祖母が協力してくれれば、子育ての負担はとても少なくなります。
しかし、両親が都内に実家を持っていることは極稀ですし、そもそも都内に持ち家がある裕福な家庭であれば援助を受けることも可能です。
現実は、両親は地方の実家におり、そこでは仕事が無いため帰るわけにもいかない、といったところ。両親に子供は預けられないし、かといって都内から離れることも出来ない……。
これが東京の子育ての現実です。
また、子供が小さいうちは、まだお金がかかりませんが、子供が中学、高校になってくると、私立に行かせるならば学費、塾代、部活動をやっていれば道具代など様々な場面でお金が必要になります。
そして最大の出費は大学の学費です。
奨学金を利用すれば負担はかなりおさえられますが、それは子供に200万~300万の借金を背負わせることになり、親としては避けたいところです。
奨学金を背負った新社会人の現実は下記の記事を参考にして下さい。
そう考えると、学資保険や貯金をしておきたいところです。
また、唯一、収入の柱になっている夫が倒れたら家計は破綻します。そうなると、生命保険、医療保険が必須ですから、これまた支出が5000円~1万円単位でかかってきます。
年収400万円との差は?
年収400万円ですと、毎月の手取りが30万円前後まで伸びます。そうすると色々差し引いても家計破綻のリスクはグンと減ります。
住宅ローンも組めるラインが見えてきますし、都内のマンションを購入するという手も使えるので、年収300万円に比べてずっと希望が見えてきますね。
こうして見ていくと、都内で年収300万で子育てをする際のリスクは
1:高額な家賃
2:両親に頼れず共働きが不可
この二点になります。
逆に言えば、この二点さえクリアすれば年収300万円でも子育ては十分可能ですし、共働きすれば年収は400万円まで引き上げることが出来ます。
しかし、家賃の安い劣悪なアパートに住む、というのも考えものですから、現実的な路線で言えば、お嫁さんが在宅でも出来る在宅ワークを使って月3万円ほど稼ぐのが一番の安全策と言えます。
現在はWEBライターなど在宅でも1万円~3万円稼げる仕事が増えていますし、在宅ワークの敷居が低くなっています。
パート=外で働く、という固定概念にとらわれず、子育てと両立できるパートを探すのが一番の解決案だと思います。
とはいえ、やはり子育てにとられる時間、体力は大きいので、都内で年収300万で子育て、というのは難しく、結婚する際や出産する際に、夫の年収アップやキャリアをしっかり見極めることが大切です。
こうして見ると、結婚相手の条件が年収400万円以上、というのも理解できますね。日本の人口は減少しており、待機児童も少しずつ減っているとはいえ、今後も人口が東京に集中することは間違いないので、都内での生活が楽になることは無いでしょう。
もし年収が300万円で、もっと年収をアップさせたいなら転職エージェントを活用してキャリアアップを目指す対策がオススメです。
詳しくは下記の記事を参考にして下さい。