ブラックバイトは何故発生するのか?人手不足がもたらすバイトいじめとは

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近年、ブラックバイトと呼ばれる新しい単語が浸透しつつあります。
ブラックバイトとは、アルバイトなのにサービス残業を強要されたり、自爆営業(ノルマ達成のために自社の製品を従業員が購入すること)を強要されたり、給与支払いが遅れたり支払われなかったり、簡単に言えばブラック企業のアルバイトバージョンと考えれば良いでしょう。

ブラック企業と言えば、そこで苦しむ被害者は正社員である、というのが世間一般の認識です。派遣社員や契約社員の場合は「非正規雇用差別」といった扱いになりますね。

しかし、アルバイトでブラックというのは最近出てきた新しい労働問題の形です。

通常、アルバイトというのは正社員と違い雇用が不安定な分、流動性があり「嫌なら辞められる」「正社員ほど責任を背負う必要がない」といった特徴があります。
学生がお小遣い稼ぎにやったり、パート主婦が家計を助けるためにアルバイトを選択するのですから、流動性が高いのは当然ですね。

また、企業側も責任ある仕事、例えば店舗管理や発注などは正社員にやらせて、そのお手伝いをアルバイトにさせる、といった配置が一般的です。

ところが近年、人手不足や人件費の圧縮により、本来であれば正社員が担うべき責任ある仕事をアルバイトが担当するケースが多くなっています。
また、厳しい営業ノルマをアルバイトに押し付けたり、退職の無理な引き止めなども横行しているようです。

なぜ、アルバイトはブラック化が進んでいるのでしょうか?
その原因を考察してみましょう。


圧倒的なアルバイトの人手不足

世間はアベノミクスで好景気になっています。
特に旅行業界や小売業界は円安の恩恵を受け、外国人旅行客で潤っています。また正社員登用が活発化してきたため、非正規雇用から正規雇用になる人も増えているようです。

スターバックスやユニクロが正社員化を推し進めたり、仕事のノウハウを熟知したパート社員やアルバイトの囲い込みが行われていましたね。

一方、都内ではアルバイト募集の張り紙を以前よりよく見かけるようになりました。
時給が高いにも関わらず、どこも人員不足が目立つようです。その理由としては、上記の非正規雇用者が減ったことによるフリーターの減少、少子化による学生アルバイターの減少、そして何より好景気になったことにより各企業でアルバイトの奪い合いが激化したことが原因です。

主に小売業や外食産業などは、正社員よりも人件費の安いアルバイトでお店を回して利益を出しています。そのため、どの店舗もアルバイトの人手不足は死活問題です。
そのしわ寄せは正社員である店長に来ますから、店長もバイト確保に必死になります。

そうなると、今いるアルバイトに辞められるのが一番の痛手ですね。
だからアルバイトを辞めるというと、必死に引き止めるのです。

以前であればアルバイトの募集をかければすぐに人が集まりました。ところが、今はあちこちでアルバイトを募集しているため、アルバイトを選ぶ側の目も肥えています。
より条件のいい場所を仕事場として選びますし、不満があればすぐ辞めていきます。

このアルバイトの致命的な人手不足が、ブラックバイトを生み出しているのです。

脅して引き止めるという手段に出る店長達

「まだ3ヶ月しか働いてないのに辞めるなんて無責任」
「あと1ヶ月でいいから続けてくれ」
「辞めることは認めない」

アルバイトを辞めようとすると、このようにあの手この手で脅してくる店長が各地で続出しています。通常、アルバイトの退職を引き止めることは法的に出来ませんが、店長達は特に若い人に対して「責任」という点を強調して引き止めているようです。

なぜ、店長達が責任という言葉を使って引き止めるのかというと、彼らもまた「責任」によって縛られているからです。
正社員になると店を任された責任、社会の一員として立派に働かなければならないという責任など、あらゆるプレッシャーがあり辞めるに辞められないのです。

特に30代40代になると「もうやってられない、仕事辞めた」とアルバイトのように気軽に離職は出来ません。
そういった彼らの背景をアルバイトに押し付けることで、ブラックバイトによくある「脅しによる離職の引き止め」が生まれるのです。

この脅しによる引き止めの背景には、小売業界や外食業界の「正社員のブラックな待遇」も関係しています。彼ら正社員はバイトの穴埋めの役割も担っていますから、アルバイトの人員が不足すると自身の休みがどんどん削られていくのです。

本来、企業が他店舗から補填するなり、正社員を新たに雇うなりするべきなのですが、極限まで人件費を削ることで利益を生み出すというデフレ化での戦略を続けている企業にとって、バイトの穴埋めに社員を雇うなど出来るはずがありません。

そのため、しわ寄せは全て店長、もとい既存の正社員に振りかかるのです。

人間は自分の利益が害されるとなると、なりふり構わずそれを避けようとします。おまけに、店長という地位、権力がある場合はアルバイトに対して強気に出れます。断られたら断られたで良いのです。離職するアルバイトに嫌われても何の問題もありません。
うまく引き止められれば、休みが無くなるという被害を避けることが出来るのです。

おまけに、高校生や大学生などの社会を知らない若い子が相手であれば、無理な理屈も通じやすいです。特に真面目で責任感のある子は、店長の身勝手な理屈に丸め込まれることが多いです。

つまり「脅しによる離職引き止め」は店長にとって最も有効な手なのです。

高時給の罠、塾業界の悪しき慣習

ブラックバイトという言葉がテレビで取り上げられた時、塾講師もブラックバイトの代表として紹介されていました。
塾講師もまた責任という言葉で学生を縛りやすいアルバイトです。

塾のアルバイト講師のメイン層は大学生です。また生徒は中学生~高校生が多いので必然的に講師と生徒の距離は近くなります。
塾側はアルバイト講師である大学生と生徒の間に信頼関係を作ることによって、辞めた時に「生徒に対して無責任ではないか?」と生徒を引き合いに出して離職を引き止めることが出来ます。
本来は企業が背負うべき責任をアルバイトに押し付けるには格好の構図になっているのです。

塾講師は一見すると時給が高いですが、準備時間やミーティングなどには時給が発生せず、時給換算すると安くなるというのは有名なカラクリです。
これは労働法に無知な学生を高時給で釣ろうという業界の慣習で、今回、厚生省に突っ込まれる前からアルバイト業界では「問題ではないのか?」と議論されていました。

塾側の言い分としては「準備はあくまで労働外の自主活動」というスタンスのようですが、どう考えてもアルバイト版のサービス残業ですね。

このように、ブラック企業の労働力搾取の仕組み作りはアルバイトにまで及んでいるのです。

ブラックバイトから逃げるためには

もし、このようなブラックバイトにあたってしまったら、離職の意志を伝えて、最悪の場合はバックれることが大切です。
ムダに責任を感じる必要はありません。自爆営業やサービス残業をアルバイトに強要する企業が責任を唱えたところで「お前が言うな」という話です。

「法的に訴えるぞ!」
「損害賠償を請求する」

と言われると、高校生などは怯えてしまいがちですが、そんなことをすれば赤っ恥をかくのは企業側です。ぜひ裁判してください、という強気のスタンスでいれば、必ず企業は刀をさやに収めます。
Twitterなどで違法行為を晒すバカッターをやっているのならば別ですが、基本的に労働者は法律によって守られています。企業の「訴えるぞ!」は99%脅しなので、屈しないようにしましょう。録音している、あまりにひどいなら警察や労働局に訴える、といった風に逆に脅し返すと、すぐに引っ込みます。

ブラックバイトの被害にあう人の多くは労働に関する法律を熟知していません。
ぜひ、労働法を学んでブラックバイトの魔の手から逃げましょう。




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