映画『寄生獣』感想。原作との違いを踏まえたネタバレ無しレビュー

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映画『寄生獣』完結編が公開されましたね。
寄生獣の原作は漫画であり、映画化権が一度アメリカの会社に買われたのですが、色々あって映画製作に至らず、最近になって権利が手放され日本の会社が無事買収して映画化に至ったようです。

今考えれば、当時(1989年)に映画化されるよりも今、映画化されたほうがミギーや寄生獣達のCGレベルも段違いでしょうし、逆にアメリカの会社に権利をホールドされていてよかったのかもしれません。

アニメ『ピンポン』のように10年以上のスパンで愛される作品は数少ないですからね。

さて、映画『寄生獣』の感想ですが、原作未読組には面白いだろうけど原作のネタバレ全開になるから原作読んで欲しいな、といったところ。

その理由を書いていきます。


映画は原作を超えられたか

原作未読で映画『寄生獣』を見ると「面白いじゃん」となるわけですが、実際、面白いのは原作コミックの寄生獣の設定やストーリーが面白いのであって、映画はそれを再現しているだけです。

ただ、原作コミックはかなり長いので、2時間しか枠のない映画×2で最後までやるのは非常にキツイのでは……と思っていました。
それを踏まえて、良かったところと悪かったところをあげます。

映画版『寄生獣』の良かったところ

まず2時間×2という枠で非常に長いストーリーを持つ原作コミック寄生獣の大筋を詰め込めたことには驚きました。
原作未読でもしっかりストーリーや設定を把握出来て、エンターテイメントとして楽しめる内容になっています。

さすがにサブキャラクターやサブストーリー全てを含めたらエヴァのように4本立てになってしまうので、カットや改変がありますが、それでも不自然にならないよう最大限、考慮して削った感じがあります。

また、序盤に最終戦を持ってきて、そこからミギ―が語るように序盤に流れていくのは良い改変だと思いました。ミギ―が最も人間臭いシーンから始まるのは賛否両論ありそうですが、私は原作未読の人に見てもらうには、良い始まりだと思いました。

グロテスクなシーンが多いのも特徴ですが、それなりにマイルドにはなっていると思います。寄生獣はグロシーンで押すタイプの映画ではないので、良くも悪くも見れる年齢層の幅が広がったなぁと思います。

また、配役も原作準拠で違和感のない役者が揃っていると思います。ヒロインの村野里美は可愛いですし、新一の母親、寄生獣事件において大きな役割を持つ刑事の平間など、それぞれ実写ならではの味が出ていたと思います。

原作未読でも最後まで見れる、寄生獣という作品に興味をもつキッカケになる、といった点で映画『寄生獣』は非常に優秀だったと思います。

映画版『寄生獣』の悪かったところ

良くも悪くも映画なので前後編それぞれ2時間ずつという時間制限が、原作『寄生獣』の魅力を映画で出しきれない原因になっています。

映画版寄生獣では原作にいた重要キャラがカットされていますし(加奈や新一の父親)ミギ―と新一との会話も必要最小限に絞られています。

特に加奈、新一の父親は、新一の価値観の変化に大きく関わってくるキャラクターなので、ストーリーの大筋に関係無いとはいえカットされたのは悲しいなぁと感じました。
ミギ―との会話も、序盤は特に寄生獣と人間の価値観の違いや、ミギ―の変化、新一の立ち位置の変化を示す重要なファクターだっただけに、ボリューム不足による薄っぺらさが目立ちました。

また、新一の演技は上手といえば上手なのですが、新一らしさはイマイチ出ていないと思いました。新一は中盤以降、大きく価値観や立ち位置が変化するのですが、その変化があまり出せていないなぁ、と思いました。
漫画版寄生獣では、サブストーリーを含めて変化が分かりやすいのですが、映画では新一の変化が分かりづらいです。

映画版ではダイジェスト感を演技でカバーしなければいけないのに、ちょっと期待はずれでした。

映画はダイジェスト版と心得よ

映画寄生獣の全体的な感想としては「想像よりも良かった」といったところ。
寄生獣という作品を知るには2時間ですし悪くない作品だと思います。ただ、映画単体で前後編全部見てしまうと、ダイジェストながらにストーリーの大筋がネタバレになってしまうので、原作を読んだ時の驚きが無くなってしまうのが難点です。

映画『寄生獣』の前編だけ見て、原作コミックを読んで、映画『寄生獣完結編』を観るのが一番良いかなと思いました。

やはり映画では寄生獣の3~4割くらいしか寄生獣の魅力を出せていませんし、4時間で寄生獣を知った気になるのは非常にもったいないです。原作コミックを読破しようとなると余裕で土日は潰れますし、原作コミックの作者と読者による『人間の存在について考える』Q&Aも面白いです。

何だかんだいって、原作既読派にも原作未読派にも話題になってますし、漫画実写化映画として考えれば成功だと思います。

この映画の印象として一番近いのがバトル・ロワイアルですかね。あれは小説が原作でしたが、映画も映画でキャッチコピーの中学生による殺し合いという部分が大きな話題になりましたから。映画の出来は悪くない程度でしたが……。

漫画実写化映画がクソ映画だらけなのを考えると、今回の映画版寄生獣は良かったと思います。

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